処置だけにとどまらない、「人を見る」看護を大切にしてほしいです。
看護師長 兼
創傷管理センター副センター長
N.M.さん
Profile
2000年入職。皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)として、創傷・ストーマ・排泄ケアを専門とする。褥瘡管理を中心に現場での実践を重ね、創傷管理関連の特定行為研修を修了。現在は看護管理室に所属し、看護師長として院内横断での創傷管理や人材育成にも携わっている。
インタビュー
知識と技術で患者さんを笑顔に。この感動が、認定看護師を目指したきっかけです。
新卒で堺市立総合医療センターに入職しましたが、実は3年ほどで地元の九州に帰るつもりでした。転機になったのは、入職2年目に膀胱がんで人工膀胱・人工肛門を造設された患者さんを受け持ったときのことでした。働き盛りで活気ある方でしたが、術後のストーマ管理がうまくいかず、排泄物の漏れが続いて不眠・うつ症状が出てくるように。当時は私自身も知識や技術が足りず、身体的にも精神的にも落ち込んでいく患者さんの様子を目の当たりにしながら、そばにいることしかできない自分に強いもどかしさを感じていました。
そんな中、当時まだめずらしかったETナース(現在の皮膚・排泄ケア認定看護師)によるベッドサイド指導を受けられる機会があり、ストーマ管理がうまくいかない根拠を丁寧に教えていただきました。その後、患者さんと一緒に試行錯誤を重ねるうちに漏れは改善。表情もみるみる明るくなり、排泄管理ひとつで人はここまで変わるのかとケアの重要性を痛感しました。この経験から、同じ思いをする人を減らしたいと、皮膚・排泄ケア認定看護師になりました。
「特定行為研修」を修了し、看護師としての可能性が広がりました。
ストーマに強い興味を持ち、知識と技術を高めたくて認定看護師になりましたが、この認定はストーマだけでなく創傷と排泄も含む、非常に範囲の広い専門領域です。中でも、実務で特に携わる機会が多かったのが創傷のケア。褥瘡のような慢性の傷だけでなく、救急外傷のような急性の傷など、さまざまな創傷を見てきました。
そうした中で次に志したのは、創傷管理関連の特定行為を、医師の指示のもとで一部担える看護師になることでした。「特定行為研修」を修了して今では、これまで医師しか行えなかったデブリードマン(壊死組織を除去する処置)や、機械を使用する局所陰圧閉鎖療法といった、傷を治すための吸引療法を率先して実施しています。
医師の指示のもとで医行為を担えるようになったことで、医師の手が空くのを待たずに、より適切なタイミングで処置できる場面が増えました。患者さんの安心や治癒促進につながるだけでなく、業務の効率化という点でも効果を実感し、看護師としての可能性の広がりに大きなやりがいを感じています。
より学びやすく、働きやすい仕組みが、患者さんのためになると信じて。
私が特定行為研修を受講していた当時は、研修先が限られていたため、東京まで受けにいく必要がありました。職場や家族に支えられて充実した時間を過ごせましたが、それだけ学べる場が限られている時代でもありました。
現在は、当院が特定行為研修の実習施設となり、現場で実習を行いながら学べるようになりました。自分の経験を振り返ると、これから専門的知識・技術を磨きたいと挑戦する方にとって、より学びやすい環境になってきているのではないかと思います。
近年では創傷管理センターが創設され、各科が横断的に関わりながら意見交換を重ねて、病院としての体制づくりが進んできました。看護師長として、また創傷管理センターの副センター長として働く環境を整えることが、結果的に患者さん一人ひとりに向き合える看護につながっていくと考えています。これからも、人と組織の両面から現場を支えていきたいですね。